不正競争防止法
商品の形態や表示,営業秘密の盗用により営業上の利益を侵害された事例を耳にしたことはありませんか。たとえば,
自社の商品を発売したところ,よく似た形の商品が出回り始めた
全国的に知られている自社の商品表示が,他社の商品表示として使用された
自社の商号と類似するドメイン名を他人が取得・保有し,高額で買い受けるよう通告された
しっかりと管理された顧客名簿を退職した従業員が在職中に持ち出し,他社で使用された
ライバル会社によって,自社製品に関する虚偽の事実を記載した書面を顧客に送付された
といったような事例です。上記のようなことがすでに起こっている場合,実際それらの行為が不正競争防止法に違反しているのか法的側面から精査した上で,違反するということであれば,弁護士が不正競争防止法による保護を主張することができます。不正競争防止法違反として追及を受けている場合でも,実務経験の豊富な弁護士に依頼しなければ,社内で対応することは非常に難しいものですので,早めに弁護士へご相談ください。
不正競争防止法とは
不正競争防止法は,事業者間の公正な競争およびこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため,不正競争の防止および不正競争に係る損害賠償に関する措置などを講じ,国民経済の健全な発展に寄与することを目的としています。
不正競争防止法では,主に以下の9項目を禁止行為として定義されています。
禁止行為 | 概要 | |
---|---|---|
1 | 周知表示混同惹起行為 | 他人の商品・営業の表示(商品等表示)として需要者の間に広く認識されているものと同一,または類似した表示を使用し,他人の商品・営業と混同を生じさせる行為 |
2 | 著名表示冒用行為 | 他人の商品・営業の表示(商品等表示)として著名なものを,自己の商品・営業の表示として使用する行為 |
3 | 商品形態模倣行為 | 他人の商品の形態を模倣した商品の譲渡などをする行為 |
4 | 営業秘密関係 | 窃取など,不正の手段によって営業秘密を取得し,自ら使用し,もしくは第三者に開示する行為など |
5 | 技術的制限手段回避装置提供行為 | 技術的制限手段により視聴や記録,複製が制限されているコンテンツの視聴や記録,複製を可能にする(回避する)一定の装置,またはプログラムの譲渡などをする行為 |
6 | ドメイン名の不正取得等の行為 | 図利加害目的で,他人の商品・役務の表示(特定商品等表示)と同一・類似のドメイン名を使用する権利を取得・保有またはそのドメイン名を使用する行為 |
7 | 誤認惹起行為 | 商品,役務やその広告などに,原産地,品質,内容などを誤認させるような表示をする行為 |
8 | 信用毀損行為 | 競争関係にある他人の信用を害する虚偽の事実を告知,または流布する行為 |
9 | 代理人等の商標冒用行為 | パリ条約の同盟国などにおいて商標に関する権利を有する者の代理人が,正当な理由なく,その商標の使用などをする行為 |
上記以外にも,国際約束に基づく禁止行為として,「外国の国旗等の商業上の使用禁止」,「国際機関の標章の商業上の使用禁止」,「外国公務員等に対する不正の利益の供与などの禁止」が定義されています。
また,一定の要件を満たしていれば,不正競争防止法の適用が除外される場合もあります(不正競争防止法第19条)。
不正競争防止法に違反すると
不正競争防止法違反の被害にあった場合,裁判所での民事手続による救済として,侵害行為などの差止請求,損害賠償請求,不当利得返還請求,信用回復措置などを求めることが可能です。不正競争となる行為自体によっては,刑事事件になる可能性もあり,刑事罰が科されることもあります。刑事罰が科された場合,営業秘密侵害罪であれば10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(またはこれの併科),それ以外の侵害罪であれば5年以下の懲役または500万円以下の罰金(またはこれの併科)が科されることになります。
また,関税法に基づき,特定の不正競争防止法侵害物品の輸出・輸入を税関で差し止めることも可能です。侵害物品を発見したら,経済産業大臣に意見書を申請し,税関長への輸出・輸入差止申立などの手続を経て,税関長によって侵害が認定されます。
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