企業法務に関する用語集

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企業法務に関する用語集 ら行

RCM [あーるしーえむ]

RCM(リスク・コントロール・マトリックス)とは,業務上想定されるリスクと,そのリスクを回避するための内部統制の方法を対応表の形式であらわした文書のことです。

業務フローチャート・業務記述書とともにJ-SOX法により作成が義務付けられている内部統制報告書の要素として推奨されており,「リスクの可視化」を目的に作成されます。

利息制限法 [りそくせいげんほう]

利息制限法とは,金銭消費貸借(お金の貸借)において暴利や貸主による搾取から消費者を保護するために,利息や遅延損害金の利率を一定限度に制限するための法律です。

利息制限法では,第一条で利息の上限を下記のとおり定めています。

元本(実際に貸したお金)が10万円未満の場合 利息は年20%まで
元本(実際に貸したお金)が10万円以上100万円未満の場合 利息は年18%まで
元本(実際に貸したお金)が100万円以上の場合 利息は年15%まで

利息制限法における「利息」とは,手数料・礼金などの名目に関わらず,返済するお金のうち元本を除く金額をさします。

加えて利息制限法では,遅延損害金(契約期間内にお金を返さなかった場合に発生する賠償金)についても上限を利息の1.46倍と定めています。具体的な割合は,下記のとおりとなります。

元本が10万円未満の場合 遅延損害金は年29.2%まで
元本が10万円以上100万円未満の場合 遅延損害金は年26.28%まで
元本100万円以上の場合 遅延損害金は年21.9%まで

上記の金利・遅延損害金の上限を超えた契約で金銭消費貸借が行われた場合,超過部分は無効となります。もし超過部分の利息をすでに支払ってしまった場合は,そのお金は元本の支払いに充てたものとみなされます。
また借金を完済した際の返済総額が元本+利息の上限を上回ってしまった場合,その部分については返還を請求できます(これを「過払い金」といいます)。

金融業者などの貸主が利息制限法に違反した場合,利息制限法では罰則規定はありません。ただし,同じく金銭消費貸借およびその業者の取り締まりに関する法律である出資法・貸金業法に違反した場合にはそれぞれ刑事罰・行政罰の対象となります。

労働安全衛生法 [ろうどうあんぜんえいせいほう]

労働安全衛生法とは,職場における労働者の安全と健康を確保し,快適な職場環境を作るための使用者の義務や管理体制などについて定めた法律です。

労働災害は,各事業場において事業者の責任により防止されなければなりません。そのため労働安全衛生法では事業者に対して安全管理体制を定めることを課し,災害防止措置を講ずることを義務付けています。また,平成26年6月25日に「労働安全衛生法の一部を改正する法律」の公布がなされ,平成28年6月までに順次,労働安全衛生法の改正項目が施行されます。

主な改正の内容としては,下記のとおりです。現在の労働者のリスクに対応した条項が追加されています。

  • 一定の化学物質に関する,危険性または有害性などの調査(リスクアセスメント)の義務付け
  • 医師・保健師などによるストレスチェックの義務付け
  • 受動喫煙の防止措置の努力義務化
労働基準監督署 [ろうどうきじゅんかんとくしょ]

労働基準法では,厚生労働省内に労働基準局,各都道府県に都道府県労働局を置き,さらに各都道府県をいくつかの区域に分け,その区域内に労働基準監督署(いわゆる,労基署)を置くこととしています(労働基準法第97条1項)。

これらの行政機関のうち,労働基準監督署は,労働基準法や最低賃金法など,労働者を保護する法律について,その実効性を確保するために設けられている機関です。

労働基準監督署は,事業主が労働基準法などに違反した場合に,当該事業者に対して違法行為を止めるよう指導や監督などを行います。また,労働局の職員が各労働基準監督署内に間借りをする形で,個別労働紛争の調停やあっせんも行っており,行政機関を通じた労働紛争の解決を促しています。

労働基準監督署の労働基準監督官には,労働基準法などの違反があるかどうかを調べるために事業所への立入調査をする権限が与えられています。立入調査の結果,法律違反などの問題があった場合には,是正勧告書という書面が交付され、指定された期日までに是正するよう勧告されます。この是正勧告を無視した場合には悪質とみなされ,最悪の場合,逮捕や送検される可能性もあります。

労働基準監督署が介入する場合,従業員との具体的な労務問題がきっかけになることが多いものです。上記のような事態に陥らないよう,顧問弁護士に相談し,当該労務問題の適切かつ速やかな解決と,日ごろから自社の人事・労務管理を整備するなどの対策をしておくことが重要です。

労働基準法 [ろうどうきじゅんほう]

労働基準法は,労働条件についてなど,労働に関する規制を定めた法律です。労働組合法,労働関係調整法とあわせて「労働三法」と呼ばれることもあります。

労働基準法は,その第1条において,「労働条件は労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすものでなければならない」と定めています。労働基準法は単なる取締規定ではなく,その実効性を確保するため,労働基準法が定める基準に達していない合意を無効とし,無効となった部分については,同法が定める基準によるものとしています(労働基準法第13条)。この効力は,就業規則や労働協約に対してもおよびます。

使用者が労働者に対して労働基準法に違反した扱いや対応を行った場合,労働者からの申告により労働基準監督署などの行政機関の調査が入る可能性があります。調査の結果,法律違反が見つかった場合には,是正勧告や指導が行われます。また,労働者や元労働者により労働審判を起こされる可能性もあります。

以上のようなトラブルを未然に防ぐためには,顧問弁護士に相談のうえ,自社の人事・労務管理を整備するなどの対策を行っておくことが重要です。また,労働審判を起こされた場合には労務トラブルに強い弁護士に相談することをおすすめします。

労働組合法 [ろうどうくみあいほう]

労働組合法とは,憲法第28条の保障する労働基本権を基礎に,労働組合,団体交渉権などについて定めている法律です。労働基準法,労働関係調整法とともに,労働者の権利を保障する「労働三法」のひとつに数えられています。憲法の保障する労働基本権とは,「労働者が団結し,使用者と団体交渉を行い,ストライキ等の団体行動をする権利」をさします。

労働組合法では,労働組合に対し,使用者との間で「労働協約」を締結する権利を認め,使用者が労働組合および労働組合員に対して不利益な取扱いをすることを「不当労働行為」として禁止しています。主な内容は下記のとおりです。

(1)使用者は,団体交渉に応じなければならない
使用者は,正当な理由なく団体交渉を拒否することはできません。拒否した場合,不当労働行為として法律違反となる可能性があります。
(2)使用者は,労働組合および労働組合員に対する不利益な取扱いをしてはならない
使用者が,労働者が労働組合を結成したり加入したりすることを理由に,その労働者を解雇したり,不利な扱いをしたりすることは不当労働行為として法律違反になる可能性があります。また,労働組合に加入しないことを雇用の条件にすることも不当労働行為にあたります。
(3)労働組合は,使用者との間で「労働協約」を定めることができる
「労働協約」とは労働条件などに関する協定のことです。労働組合と使用者が労働条件などについて交渉して決めたことは,書面に作成し,両当事者の署名または記名押印がなされることで「労働協約」となります。労働協約が定められると,労働協約に反する労働契約の定めは無効とされます。
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