人事・労務問題

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労働災害

労働災害とは,従業員が,業務中に負傷(怪我),疾病(病気),障害,死亡する災害のことをいいます。この点,労働者災害補償保険法では,「業務災害(業務に起因する災害)」と「通勤災害(通勤時の災害)」に分類しています。会社にとっては,事業を継続していると,労災が起こるということはあり得ない話ではありませんし,業種によっては,不可避ともいえる問題です。大なり小なり対応を迫られることのひとつです。

このような労働災害において,会社は従業員から「労災申請・給付に係る事業主証明に署名をしてほしい」と頼まれることがあります。この事業主証明とは,従業員が労災保険の療養給付を受けようとする際に「負傷又は発病の年月日」,「災害の原因及び発生状況」について事業主の証明を受けなければならず(労働者災害補償保険法施行規則12条2項),一方で,それを受けた会社は災害を受けた本人が事故のために地震で保険給付の請求などを行うことが困難な場合には,手続を行うことができるように助力し,本人から保険給付を受けるために必要な証明を求められた場合には,速やかに証明をしなければならない(労働者災害補償保険法施行規則23条)と定められています。必要な証明というのは,一般的には「事業主証明」ということになります。

では,これらの法律に基づいて会社は,従業員から労災に関する事業主証明を求められた際は拒むことができないのでしょうか。もちろん,当該災害が真に業務に起因している場合には,会社は事業主証明をする義務があります。しかし,会社が実際に当該災害が業務に起因するものであるのか否か,たとえば,従業員が腰痛に関して労働災害を訴えており,この腰痛が本当に業務に起因するものであるのか,それとも従業員の私的な行動に起因するものであるのかを判別することが難しいような場合があります。

そのような場合には,頼まれたからといって安易に署名をしてしまうと,後に従業員から会社に対しての損害賠償などの請求を提起してきた場合に,災害の経緯・原因まで認めたと捉えられてしまうリスクが非常に高いことから,署名は慎重に行う必要があります。もし,会社として業務起因性に疑義があるということであれば,事業主証明には,「災害の日時・原因については会社として確認できていない」旨を明記するべきでしょう。

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