企業法務

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独禁法・下請法

取引先に無理な「要求」,「お願い」をされた経験はありませんか。たとえば,

自社の事業内容とは関係のない商品の購入をお願いされた

ネットによる通販を続けるようであれば取引を停止するといわれた

取引先のセールに人員を派遣させられた

売れ残りの商品を返品された

下請け代金が支払われない

といった経験です。会社として事業を行っていれば,大なり小なり取引先との関係で融通を利かせることも必要かも知れません。もっとも,取引先がその融通を求める程度によっては,独占禁止法や下請法に抵触する可能性があります。これらの違反を追及したい,あるいは追及されているといったような場合には,実務経験の豊富な弁護士に依頼しなければ,社内で対応することは非常に難しいものです。不本意ながらそのような状況に陥ってしまった場合には,早めに弁護士へご相談ください。

独占禁止法とは

独占禁止法の正式名称は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」です。その目的は,公正かつ自由な競争を促進し,事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすることです。
独占禁止法で禁止されていることは大きく6つに分かれます。また,一定の要件を満たしていれば,独占禁止法の適用が除外される場合もあります(独占禁止法第22条)。

私的独占の禁止

私的独占とは,事業者が単独もしくは共同で不当な低価格販売などの手段を用いて競争相手を市場から排除したり,あるいは新規市場参入者への妨害を行ったりする行為をさします(排除型私的独占)。また,競争相手の株式を取得したり,役員を派遣するなどして,競争相手の事業活動に制約を加えることで市場を支配しようとすることも私的独占にあたります(支配型私的独占)。

不当な取引制限

この不当な取引制限にあたるものとして「カルテル」と「入札談合」があります。「カルテル」とは,複数の事業者が本来,それぞれ設定すべき商品の価格や生産数量などを話し合って取り決める行為のことをいいます。カルテルが行われると,市場での自由な競争がなくなり,価格で商品を選ぶことができなくなってしまいますし,また,高い価格が設定され,消費者は本来ならもっと安い価格で購入できたものを高い価格で買わなければならなくなってしまいます。

「入札談合」とは,国や地方公共団体などの公共工事や物品の公共調達に関する入札にあたって,入札に参加する事業者が事前に相談して,受注する企業や金額などを決めて,持ち回りで請け負う体制を作ることを「入札談合」といいます。このようなことが行われると,自由な競争が阻害され,高い価格で落札されてしまいます。そうすると結果的には税金の無駄遣いといったことが起こり,公共の福祉を大きく損なうことになってしまいます。

事業者団体の規制

独占禁止法が規制している行為の対象者は,市場において事業活動を行っている事業者だけでなく,2つ以上の事業者で構成される社団や財団,組合等の事業者団体も対象となります。具体的には,「工業会」,「協会」,「協議会」,「組合」といった団体や,「連合会」といったこれら団体の連合体が事業者団体に相当するとされています。これらの団体による競争の実質的な制限,事業者の数の制限,会員事業者・組合員などの機能または活動の不当な制限,事業者に不公正な取引方法をさせる行為などが禁止されています。

合併や株式取得などの企業結合規制

株式保有や合併,事業譲受などにより,それまで独立して活動を行っていた企業の間に結合関係が生まれ,結合された会社グループが単独で,あるいは他の会社と協調的な行動をとることで,一定程度自由に市場における価格,供給数量などに影響を与えることができるようになる場合には,当該企業結合は禁止されます。

一定の要件に該当する企業結合を行う場合には,公正取引委員会に当該結合の30日前までに届出・報告を行うことが義務付けられています。

独占的状態の規制

「独占的状態の規制」とは,これまでに挙げたような反競争的な行為が何もないにもかかわらず,参入障壁が高いなどの理由により市場が独占的な状態になってしまったものについても独占的であるという状態のみをもって規制をかけることができるというものです。

具体的にこの独占的な状態とは,

  1. 当該同種の商品・役務の国内供給価格が最近1年間で1000億円を超えていること
  2. 1年間で1社のシェアが50%超,または上位2社で75%超であること
  3. 新規参入が著しく困難であること
  4. 当該商品や役務の価格が下方硬直的(需要やコストが下がっても価格が下がらないこと)

で,当該事業者が著しく高い利潤を上げているか,または,過大な販管費(広告費など)を支出していること,以上のすべての条件を満たす状態であることとされています。

不公正な取引方法に関する規制

不公正な取引方法とは,「自由な競争が制限されるおそれがあること」,「競争手段が公正とはいえないこと」,「自由な競争の基盤を侵害するおそれがあること」などの観点から,公正な競争を阻害するおそれがあると判断できる場合に禁止されます。

すべての事業者に適用される一般指定と,大規模小売業・物流・新聞といった特定の業社・業界が対象となる特殊指定に分かれており,一般指定には,「共同の取引拒絶」,「再販売価格の拘束」,「優越的地位の濫用」,「抱き合わせ販売」,「不当廉売(ダンピング)」など,多くの類型があります。また,特殊指定としては,「大規模小売業者が行う不公正な取引方法」,「特定荷主が行う不公正な取引方法」,「新聞業における特定の不公正な取引方法」の3つについては,公正取引委員会によって不公正な取引方法が具体的に指定されています。

独占禁止法に違反すると

  • 独占禁止法に違反すると,公正取引委員会によって,違反事業者に対して,当該違反行為を除くよう必要な措置が命じられます(排除措置命令)。
  • 私的独占,カルテル,不公正取引を行った違反事業者に対しては,課徴金が課されます。また,その企業や業界団体の役員に対しても罰則が定められています。
  • 私的独占,カルテル,不公正取引を行った企業に対して,被害者は損害賠償の請求をすることができます。この損害賠償については,当該企業の故意・過失の有無を問わないと規定されています(無過失責任)。

下請法とは

下請法は,独占禁止法の特別法として下請取引の公正化・下請事業者の利益保護を目的とした法律です。正式には,「下請代金支払遅延等防止法」といいます。

下請法で定義された親事業者には「下請代金の減額」,「不当返品」,「不当な経済上の利益の提供要請」など以下の11項目の禁止事項が規定されています。

  禁止行為 概要
受領拒否 下請事業者に責任がないにもかかわらず,注文した物品などの受領を拒否すること
下請代金の支払遅延 下請代金を注文品の受領後60日以内に定められた支払期日までに支払わないこと
下請代金の減額 下請事業者に責任がないにもかかわらず,あらかじめ定めた下請代金を減額すること
不当返品 下請事業者に責任がないにもかかわらず,受領した物を返品すること
買いたたき 類似品などの価格ないし市価に比べて著しく低い下請代金を定めること
物の購入強制・役務の利用強制 親事業者が指定する物・役務を強制的に購入もしくは利用させること
報復措置 親事業者が下請法に違反しており,それを下請事業者が公正取引委員会等に知らせたことを理由に,下請事業者に対して取引数量の削減・取引停止等の不利益な取り扱いをすること
有償支給原材料等の対価の早期決済 有償で支給した原材料などの対価を,下請代金の支払期日よりも早い時期に相殺したり,または支払わせたりすること
割引困難な手形の交付 一般の金融機関で割引を受けることが困難であると認められる手形(繊維業は90日超,その他は120日超の手形期間)を交付すること
10 不当な経済上の利益の提供要請 不当に下請事業者から金銭・労務の提供を受けること
11 不当な給付内容の変更・やり直し 下請事業者に責任がないにもかかわらず,親事業者が費用を負担せずに発注の取り消しや内容の変更,やり直しをさせること

これらの親事業者の禁止行為に違反すると,仮に下請事業者の了解を得ていたり,親事業者に違法行為の認識がなかったりしても下請法違反となります。近年は,下請法違反の摘発が強化されており,勧告にはいたらないまでも指導にいたった件数は右肩上がりとなっています。

下請法違反による指導件数の推移

下請法に違反すると

下請事業者からの申告などにより,まず,公正取引委員会および中小企業庁によって親事業者や下請事業者へ調査・検査が入ります。その調査・検査によって下請法の違反行為が見つかると,親事業者に対して違法行為を改善するよう指導・勧告がなされます。勧告が行われた場合には,違反した親事業者名,違反事実の概要等が公表されます。さらに,親事業者がこの公正取引委員会の勧告に従わない場合には,独占禁止法に基づく排除措置命令や課徴金納付命令が出されることになります。

もっとも,早期の改善が下請事業者の受けた不利益の回復に資することから,公正取引委員会が違反行為に関する調査に着手する前に親事業者からの自発的な申し出がなされ,かつ「違反行為をすでに取りやめている」,「下請事業者に与えた不利益を回復するために必要な措置(少なくとも過去1年分)を講じている」,「違反行為を行わないための再発防止措置を講じることとしている」,「公正取引委員会の行う調査及び指導に全面的に協力している」という一定の事情があれば,勧告を行わない(=公表されない)としています。

また,親事業者が,発注書面を交付する義務や取引記録に関する書類の作成・保存義務を守らなかった場合,公正取引委員会などによる立入検査を拒否した場合には,違反行為を行った本人のほか,会社も50万円以下の罰金が科されます。

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