人事・労務問題

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給与・退職金・時間外労働

賃金は,企業で働く従業員の生計を支えるもっとも重要な要素です。この点,不払いや遅延はもちろんですが,「雇用契約を締結した際の説明と実態が食い違っている」,「退職金を支払う・支払わないについて明確な基準がない」,「労務管理が徹底されておらず,時間外賃金の支給について従業員が不満を持っている」などの理由により法的な紛争へ至ってしまうケースもあります。

給与

給与は,従業員の生計を支える重要な糧であるため,法律によって,その支払についても原則が定められています。これらは,一般的に「賃金支払いの5原則」と呼ばれています。

通貨払いの原則 賃金は通貨で支給しなければなりません。現物での支給は禁止されています。もっとも,法令・労働協約において現物支給を認めている場合には,賃金の現物支給も例外的に認められます。
直接払いの原則 賃金は,直接労働者本人に支払わなければならず,他人を介して支払ったり,労働者の代理人などに支払ったりすることはできません。未成年者の賃金についても,親権者または後見人が代わって受け取ることはできません。ただし,労働者が病気などで欠勤している場合,家族等労働者本人の使者と認められる者に対して支払うことは差し支えないとされています。
全額払いの原則 賃金は,その一部を控除することなく,全額を支払わなくてはなりません。もっとも,給与所得の源泉徴収や社会保険料の被保険者負担分などの法令上定められているもの,社宅・寮などの費用,購入物品の代金などで労使協定が有効に締結されているものについては控除が認められています。また,欠勤・遅刻・早退など実態として労働者が,労務を提供しなかった時間分の賃金や賃金の一部を前払いした分については,全額払いの原則に違反しません。
毎月1回以上払いの原則 労働者への賃金は,労働者の生活の安定を確保するため,少なくとも毎月1回以上の頻度で支払わなくてはなりません。もちろん,日払いや週1回,週2回の支払いでも問題ありません。
一定期日払いの原則 賃金は,労働者の生活の安定性(計画性)を確保するため,期日を定めて支払わなくてはなりません。

退職金

退職金は,雇用契約が何らかの理由で終了した際に労働者に対して支給される一時金のことをいいます。その支給の有無,金額,時期,条件などについては,労働契約や就業規則(退職金規程)で定めます。もっとも,退職金制度を設けるか否かは会社の自由な裁量事項ですから,必ず制度を設けなければならないものではありません。

会社側が退職金制度を設けている場合,就業規則などで支給条件が明確に定められた退職金を支払うことは会社の義務になります。さらに,規定などで定められた退職金は,「労働の対償」として,つまり働いたことへの対価として支払われる賃金という性質を持つと解されることから,法律上は,賃金と同じ規制を受けることになります。

退職金に関するトラブル

退職金は,単なる賃金の後払いという意味だけではなく,長年,会社に対して貢献してきた人への功労報償としての性質も併せ持っています。

よく会社の社長からは「退職金はその従業員が会社に貢献してくれた程度に応じて支払う感謝の印なのだから,従業員が実際にやめるとなったときにこちらで支給の有無,支給する場合にはその額を決める」という趣旨のことをよく伺います。もし,会社に退職金に関する規定がない(もしくは退職金は支給しない旨を定めている)場合には,この考えは基本的に間違っていません。しかし,退職金に関するトラブルが起こりかねない状態です。

この点は,就業規則で退職金に関する規定を具体的に定めていれば,それに従って支払えばよく,退職金に係るトラブルを予防する最も有効な手段となります。

時間外労働

退職した従業員から突然,「未払いの残業代があるので支払ってほしいと請求が来た」とのご相談が多くなっています。会社においては,就業規則等において「変形労働時間制」や「あらかじめ基本給や手当に時間外手当を含む(定額残業代制)」というような形でなるべく残業代を支給しないように制度設計している会社も多く見受けられます。

しかし,これらの制度については,規定を作ったこと自体で未払い残業代の請求をされるというリスクヘッジしたことにはなりません。これらの制度を適法に運用してこそ初めてリスクヘッジ策となるのです。ひとつの例として,多くの会社で見受けられる定額残業代制についてですが,これを適法に使うためには以下のような要件を会社がしっかりと運用することが必要になります。

  • 残業代の定額部分が,それ以外の賃金と明確に区別されていること
  • 残業代の定額部分には何時間分の残業代が含まれているのか明確に定められていること
  • 実際に行った残業時間に対する残業代が,定められた残業時間の定額分の手当を超えた場合には,別途超過した分が支払われていること

これらの要件をすべて満たしていなければ,適法に定額残業代制が運用されているとはいえません。それどころか,仮に定額残業代の部分につき,区別や含まれる時間が明確にされていない場合には,そもそも定額残業代制を採っているこということ自体が認められず,会社が定額残業代と考えていた部分まで残業代を計算するにあたっての基礎時給の一部とされてしまい,非常に高額な割増賃金の支払いを裁判所から命じられてしまう可能性すらあります。

定額残業代制や人件費(時間外割増賃金)の圧縮のための施策は,このように思わぬリスクをはらんでいるものですので,これから制度化しようとしている,または,制度化してすでに運用を開始しているといった企業においても,弁護士などのチェックを受けながら制度化ないし運用の変更を行う必要性が高い制度です。

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