企業法務

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内部統制

企業が目標を達成するためには,従業員の貢献が必要となります。しかし,従業員の独自の指針や判断に基づく企業活動が行われれば,企業は組織としての統率を失い,目標の達成どころか,非効率な経営による営業実績の鈍化による財務状況の悪化,パワーハラスメント,越権行為,違法行為などの横行によるモラルハザードの低下による,企業全体が衰退に陥ることになります。

創業当初には,ひとり(あるいは数人)で立ち上げた企業も,成長するに連れて,従業員を雇い入れ,組織としての体裁をなしていきます。それに伴い,経営者(経営陣)の管理すべき範囲は広がり,従業員の行動を経営者が全て把握していた直接管理だけでは難しくなり,管理職を設け,就業規則,業務マニュアル等の社内ルールの整備が行われていきます。しかし,自己流で作成した規則は法務問題の耐性が弱く,また,社内への浸透が不十分であるため,多くの法務トラブルを引き起こすことがあります。たとえば経営者として以下のような場面に直面したことはないでしょうか。

架空売上や架空在庫が存在していたなど,財務報告の信頼性を疑われたことがある

経理部門からの財務報告や,現場からの営業報告が不正確であったため,緊急の資金調達や決算期直前の下方修正に慌てたことがある

従業員のミスやエラーが多く,顧客からのクレームが当たり前の状態となっている

従業員の怠慢や着服,従業員間のトラブルがもとで従業員のモチベーションが低下し,会社の信用性に影響があったことがある

就業規則,服務規定,業務マニュアルの変更が多発し,従業員が把握できていない,困惑して日々の業務に無駄が発生している

これらの問題を未然に防ぐため,企業(経営者)は内部統制を導入する必要があります。内部統制は,健全な経営を行い,企業の目標を迅速に達成するための組織内の仕組みといえます。

内部統制は,『取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備』と会社法362条4項6号で定められています。
また,金融庁企業会計審議会では,内部統制とは以下の4つの目的を達成するために企業内で構築されるものであるとされ,4つの目的は以下のように定義されています。

  1. 業務の有効性および効率性
  2. 財務報告の信頼性
  3. 事業活動に関わる法令などの遵守
  4. 資産の保全

内部統制の各目的は独立しておらず,組織に関わるすべての人間が業務の中で遂行する一連の動的なプロセスとされるため,一旦構築されたから終わりということではありません。企業を取り巻く環境が変化し,それに対応して組織が変化すれば,現状で構築していた内部統制も見直し,改善後も引き続き運用されるようします。

内部統制は画一的に決まった仕組みではありません。個々の組織が置かれた環境や事業特性,企業の変遷などによって異なり,経営陣が自社に最適な内部統制を検討し,構築し,運用し,見直しをする必要があります。たとえば,企業会計審議会では製品市場の状況,製品および顧客の特性,地理的な活動範囲,組織間の競争の度合い,技術革新の速度,事業規模,労働市場の状況,IT環境,自然環境への配慮などが挙げています。

また,内部統制の目的を達成するために必要とされる内部統制の構成部分を内部統制の基本的要素と呼び,以下の6つが定義されています。そして,これらが内部統制の有効性の判断の規準とされているのです。

  1. 統制環境
  2. リスクの評価と対応
  3. 統制活動
  4. 情報と伝達
  5. モニタリング
  6. IT(情報技術)への対応

以上のように,内部統制の構築に関しては,対応すべき領域や作業が非常に多くあります。一朝一夕で完成とはいかず,作業の対象範囲からも,社内の人員だけでは非常に難しいことがわかります。さらに専門家も弁護士,会計士,監査法人,などの士業だけでなく,IT事業者や経営コンサルタントも加わることもあります。社内を横断する大規模なプロジェクトとなる場合が多く,費用と時間を要します。しかし,内部統制の必要性が高いからといって,費用と時間を無限に投資し続けることは,内部統制の整備と運用自体が企業経営の足かせになります。したがって,社内の効率化と導入運営費用の費用対効果がもっとも高い仕組みを導入することが,内部統制では現実的となります。

アディーレ法律事務所では,顧客企業に合わせた内部統制の構築を支援いたします。現状の問題分析をもとに,企業規模や企業特性を加味した運用実現性の高い内部統制を提案いたします。また,大企業向けでは,顧問弁護士が公認会計士,監査法人,IT事業者とともに「事業活動に関わる法令などの遵守」の分野で,適切な助言と教育を行うことで,企業の内部統制構築に貢献いたします。まずは,貴社のありのままの現状を私たち弁護士にお話しください。

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